2018/10/31

熊野SUPマラソンレースレポート

2018年10月28日、熊野SUPマラソンに出場してきました。

三重県南部に位置する熊野市の新鹿海水浴場が会場となっており、15kmや8kmコースはコースレースにして沿岸部と言えど外洋へ出るコース設定。おそらく日本国内では熊野だけではないでしょうか。

「灘」という漢字が使われるこの熊野灘ですが、過去5回開催のうち3回が台風の影響を受ける(昨年は台風接近により中止)コンディション。

文字通り海の難しいコンディションが代名詞となりつつある。

今回も元々のリアス式海岸に代表される潮流や沖縄の南の海上にできた台風スウェルが届き、風は弱くもインサイドでの頭オーバーの波や沖合のうねりは参加者の気持ちを良くも悪くも奮い立たせたのではないかと思います。

 

レースレポートです。

今回も夏の伊勢でのレースに続き、NSPチームにお世話になり日本上陸したてホヤホヤの14ft新作モデルCarolinaで臨みました。

前日に試乗しただけなので、ハードコンディションの中、正直細かなボードの特性を使うような思い切ったレースは出来ませんでしたが、このCarolinaはNSPシリーズのPUMA(伊勢志摩SUPフェスティバルで使用)と沖縄でいつも使用しているSONICがミックスになったようなボードコンセプトなので、今回ぶっつけのハードコンディションでもなんとかボードをコントロールしながらレースが出来ました。

まず今回の最大のポイントでもあったスタート時のショアブレイク。ここを慣れないボードで切り抜けられるかがとても心配でした。

前日にはリーシュを切られてしまうほどで、波に捕まったらかなりのタイムロスだけでではなく、借りるボードにも迷惑をかけることもあったので、僕の中では一番のポイントでした。

おそらく3年前の地獄絵図のようなスタートのことがあったのか、運営上もスタート地点の修正が入りましたが、セットでは頭オーバーが入ってきていました。

スタートのフォーンの後、波が崩れ始め、僕はなんとか波を突っ切ってスタートができましたが、近くにいた選手はエキスパートメンバーも含めサイドラインにはきていなかったので、そこで冷静にレースに入っていくことができました。

今回は熊野の大自然が相手で、コンディションもハード。できるだけ自分とボードを大自然に集中させて漕ごうと思っていました。

湾内は面がバシャついても波高は上がらないため、Carolinaはスムーズに進んでくれました。ただ外洋へ出てからの複雑な前方からくるうねりには波長も短いものが多く、14ftの板が少しストップさせられる感覚がありました。おそらく長さの違いはあれど、湾内コンディションはCarolina、外洋はSONIC。だと思います。

 

予報でも風が安定しない情報でしたが、定まらない風の向きによる風波と台風のうねりが絶景の崖にぶち当たりそこから生まれるバックウォッシュ。外洋エリアでは期待していた通り海面が大きく複雑に揺らいでいました。

レース展開としては、スタートから後ろがどうなっていたか分かりませんが、折り返し直前、今まで聞こえなかった水の音がして、振り向くとすぐ後ろ、右側と左側に柏木選手たちがいました。

 

後に聞いたところ、スタート時のリードを広げ、湾内が終わる3km地点くらいでは200m程僕が前だったようです。

外洋の5km程でその距離を縮められたことになります、少しショック笑。

僕自身は、スタートも決まり、湾内では誰の姿も見ることはなかったので、外洋では自分と自然に集中しながら余裕を持っていたので、折り返してから再スタートだなという気持ちで折り返しました。ほぼ3人同時で回航。

回航直後は陸側の崖も開いていて、うねりを拾いやすいポイントでしたが、柏木さん達も外洋経験豊富で、簡単にリードは取れませんでしたが、板の特性上、湾内まで離されずに行ければ自分に利があると思っていたので、外洋も焦らず一つ一つ、ひと漕ぎひと漕ぎを大切にいけました。

 

湾内に入っても、柏木選手の漕ぎが凄くて、横一線。

今回のレースイメージをする中で、自分が一番したくなかったのが、湾内での競い合い。

 

本当は安全圏のリードがあればゴールのブレイクを極力避けて、少しならビーチを走ろうと思っていましたが、この展開は勝負をしないといけないなと気持ちを切り替え、一直線にゴールゲートへ向かうラインを取りました。うねりを拾いあい、前に出ては抜き返されのリードの取り合いでしたが、ゴール近くの時にうねり一本分リードすることができ、そのままショアブレイクの波もテイクオフしてゴールへ!

ちょうど奈良から駆けつけてくれた妻と息子大洋。お義父さんとお義母さん、自分の母の姿がゴール地点で見えて、トップでゴールする嬉しさが湧き出てきました。レース後、GPS時計を使ってた先輩から聞いたら、距離はちょうど16kmだったそうです。

 

レースは大なり小なり思い通りに進まないことが多いです。それは自然の中に相手も加わるので当たり前。

今回は特に後半は相手の様子を確認する場面も何度かありましたが、自身のリズムを崩さずライバルの存在を良い方に力に変えられた、いいレースができたと思います。

 

 

 

6月にNSPのボードを買ってから、僕の目標は全日本ではなく熊野でいいパフォーマンスをすることでした。

このレースに向けて、このレースの為のコンディションで練習してこれた準備が一番の勝因だと思います。

ただし、今回は3日前にSONICが使えないということで、他の選択肢へと移行することになりました。

そして散々確認して申込をした一般15kmが、終わってみたら話と違う部門別表彰のみとなり、言葉巧妙というかそれは使い方間違いでしょと言いたい内容に巻き込まれる結果となってしまいました。

ただこんな状況でも来年に向けて試乗を楽しみにしていた、新作モデルで出場できる楽しみに変えられたり、気持ちを乱さずにレースに入れたことが何よりも良かったことだと思います。

 

今年の個人レースはこれで終わりました。

コースレースでは初の優勝を伊勢志摩で勝ち取り、そして同じ三重県レースのこの熊野も15km総合1位を取ることができ、三重県レース2冠出来たことはとても嬉しい!

今シーズンを振り返り、来年に向けて新しい取り組みをwinter seasonへ活かしたいと思います。

NSP JAPANの皆さん今大会も大変お世話になりました。

ありがとうございます!!